家の形とクエスチョンマーク

一戸建ての耐震工事。種類を知って納得の選択を

マイホームの耐震診断を受け、いざ工事と思ったとき、リフォーム業者の言うままに契約をしようとしていませんか?リフォームはいわば住まいの手術です。受ける側もある程度の知識は頭に入れて選びたいもの。

 

ここでは戸建ての部分的な耐震工事と大規模な耐震工事、またその注意点について解説します。

 

部位別にみる耐震工事の種類

耐震補強金具

 

耐震診断の結果は悪くなかったけれど、今後も気にして見ていきたいわ。どんなところがポイントかしら?
いまの住まいの耐震性、さらに高めたい!

こんな場合は気になる部分に対策を。耐震を考える場合、重要になってくるのは「基礎」「柱・筋交い」「壁」「屋根」です。構成要素別にどんな工事ができるのか見ていきましょう。

 

「基礎」の耐震工事

・クラック(ひび割れ)の補修

コンクリートの基礎にクラックができたらどうすればいいのか…と不安になりますよね。クラックの隙間が0.3㎜以下のごく浅い表面だけであれば、ホームセンターで購入できる補修材を使うのもひとつの方法。ひび割れ部分を洗浄し、補修材を埋め込みます。

 

しかし、ひび割れが複数であったり、内部まで達している深いクラックは耐震性に影響を与えることもあり深刻です。リフォーム業者に依頼しましょう。ひび割れの状態により、選択される工法は複数ありますが、安いものでは1箇所5000円前後、高くとも2万円ほど。

 

日常生活を妨げることなくできる工事です。家の外観を定期的にチェックする習慣をつけ、早めに対応しましょう。

 

・基礎補強

これまで日本では1981年、2000年と建築基準法改正が行われ、それに伴い耐震基準もより大きな地震に耐え得る基準が取り決められてきました。しかし現在も旧耐震基準のままの住宅は多くあります。これらの木造住宅は基礎コンクリートに鉄筋が入っていないこともあり、特に基礎の補強が重要ともいわれています。

 

無筋コンクリート基礎を補強するには、既存の基礎の外側に鉄筋を打ち込み、さらにコンクリートで抱き合わせるように既存の基礎と一体化させる方法が一般的です。

 

「柱・筋交い」の耐震工事

・耐震金物取付

耐震金物は構造部分をより強固につなぎとめるために用いられる金具です。接合部の連結がより強固になり、耐震強度を上げることができます。

 

施工する主な場所は柱や梁、筋交いといった接合部。取り付ける部位に合った様々な形状の金物が各メーカーから発売されています。耐震金物の中には土台・基礎・柱を補強する外付けタイプのものもあります。

 

「壁」の耐震工事

・筋交いの追加・耐震パネル設置

木造軸組構法の住宅では、一定の割合で筋交いを使用することが建築基準法により義務づけられています。片側だけの片筋交いからたすき掛けの筋交いに変更することで壁の強度を上げたり、傷んだ木材の入れ替えたりする工事が一般的な方法です。

 

また、現在では耐震性に優れた外壁下地やクロス下地など様々な耐震パネルが開発されています。天井や床を壊さずに作業できる上、通常の木造住宅だけではなく、ツーバイフォー工法や鉄筋コンクリート造にも対応できる、汎用性が高い方法です。

 

・外壁塗装

ひび割れや塗装のハゲ、コーキングの劣化などは、美観だけでなく強度も損ねます。大きな問題になる前に、外壁の塗り直しを検討しましょう。

 

外壁材にはサイディング、モルタル、タイル、 ALCなど、いろいろな種類がありますが、外壁塗装はどの素材でも有効です。まずはコーキングの傷みやひび割れ、浮きなどの補修を行い、きれいにしたあと塗装します。

 

「屋根」の耐震工事

・屋根のふき替え

昔ながらの瓦屋根は重量があり建物への負担が大きいといわれます。また災害時に割れた瓦が散乱することで避難の妨げにもなります。屋根材を軽量化することで建物の重心が下がり、揺れに対する家への影響も少なくなります。

 

耐震リフォーム向けに提案される屋根材は金属瓦である場合が多く、特にガルバリウム鋼板を用いた屋根は近年住宅に多用されています。この素材は、金属系でありながらサビに強く、耐久性に優れています。薄さは1~3mmで軽く、揺れにも影響を受けにくいため、耐震工事に向いています。

 

従来の日本瓦の持ち味を損ねたくない方には軽量防災瓦という選択肢も。ただし、ガルバリウム鋼板も防災瓦も「軽量」とはいえ、建物の土台や構造に不安が残る状態では屋根の軽量化で耐震性が上がるとは言えません。施工するならば土台や構造の強度も見直しが必要です。

 

スケルトンリフォームで大規模耐震工事

古い家のリフォーム工事

 

部分的な耐震工事で対応しきれない建物には思い切って大手術を。骨組みを残し全てを再施工するスケルトンリフォーム(フルリフォーム)という方法があります。古い建物の立派な柱を残したい、土地に規制があってどうしても新築できないなどの事情にも対応できる工事です。

 

スケルトンリフォームのメリット

構造材の状態を直接確認できるところが一番の魅力ね。どんなところが傷みやすいのかも一目瞭然!

 

耐震工事としてのメリット

・構造から強化できる

部分的な工事では難しかった構造材に直接アプローチできるため、劣化箇所や地震に弱い部分を直接確認し、必要な耐震補強が可能です。リフォームであっても耐震性能が高い耐震等級3を叶えることができます。

 

・今後発生しうるトラブルが予測できる

既存の住まいのを一度解体することで、どの部分がどういう傷み方をしているのかがわかります。つまり、劣化しやすい箇所に対して対策をとることができるのです。

 

他にもこんなメリットが

・大幅な間取り変更や断熱強化ができる

使い勝手の悪い間取りや寒い室内も、これを機に解決することができます。構造材のみになった躯体は自由度が高く、間取りや配管の変更、断熱材を入れることも可能です。

 

・再建築不可物件でも新築同様に

一戸建て住宅のスケルトンリフォームは、建て替えよりも割高になることもあります。しかし、土地によっては、接道面の問題などで新築したくともできない条件がついている場合があります。そういった土地でもスケルトンリフォームをすることで新築同様の住まいへとよみがえらせることができるのです。

 

スケルトンリフォームのデメリット

・コスト増の可能性

既存のものを活かし補強することで耐震強度を上げる計画でいても、シロアリや腐敗による構造材の傷みがひどい場合は、やむなく交換することも。当初の予算を大きく上回るおそれあります。

 

・耐震以外のリフォームがしたくなる

外装や内装など、スケルトンにするため取り去ったすべてを造り直すため、間取りや断熱、美観といった耐震以外のリフォームにも取り組んでしまいがちです。結果、費用と工期がかさみ、仮住まい期間が伸び……と、トータルすると予想以上に高額に。

 

忘れてはならない耐震工事の注意点

工具と木材

 

今度は注意点について考えてみましょう。自由度が高く人気の在来工法(木造軸組み工法)ではあまり工事の種類を選びませんが、ツーバイフォー工法や鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造の建物は、それならではの制約があります。

 

「ツーバイフォー工法」の耐震工事

1960年代にアメリカより入ってきたツーバイフォー工法は、従来の柱や梁で建物を支えるのではなく、耐力壁という壁面で家を支える構造で建築しています。壁量が多いため水平にかかる力に強く、地震にも強いと言われていますが、導入初期の建物は現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。

 

ツーバイフォー工法のかなめである壁の強化が耐震工事では多く行われます。工法の規則に則った施工をしなければ効果が出ないため、ツーバイフォー工法に詳しいリフォーム業者を探す必要があります。

 

「鉄筋コンクリート造」の耐震工事

構造材が鉄筋コンクリートであっても、基礎や屋根については木造と同じ工法が利用できることも。一方で壁面など違う工法を用いなければならない場合もあるため、施工に慣れたリフォーム会社とよく相談する必要があります。

 

内壁に使われているボードをより耐震性に優れた素材に替える工事がよく選ばれますが、建物全体のバランスが強度に直結するため、部分工事よりも全体工事が選ばれる傾向があります。またコンクリートの乾燥に時間がかかるため、工期が長くかかります。

 

「軽量鉄骨造」の耐震工事

軽量鉄骨はもともと高い耐震性を誇る構造材です。構造計算を行わなければ建設できない素材のため、耐震診断においても悪い結果が出ることは多くありません。それでも工事をという場合は、外壁の強化や筋交いの追加を行います。

 

軽量鉄骨造の難点は、どこのリフォーム会社でも対応できるわけではないというところにあります。施工業者が限られるため、費用と工期はかさむ傾向にあります。

 

細かい点にも注意しよう

・定期的なメンテナンスで劣化を防ぐ

耐震工事はやって終わりではありません。工事後、メンテナンスの効果がどれくらいの期間続くのか確認し、時期を見て再メンテナンスを行う必要があります。そのために必要な予算も把握しておけばよりよいでしょう。

・屋根と外壁は同時に

屋根のふき替えや外壁工事には足場の設置が必要です。屋根だけ、外壁だけと分けて工事を行うと、そのたびに足場が必要になり、費用がかさみます。いずれどちらもと考えているならば、同時にすませると安く上がります。

・素材の性質を理解する

耐震工事の結果、起こりうるデメリットについても施工前に説明を受けるようにし、対策を取りましょう。

 

例えば、屋根の軽量化をはかるため屋根材を陶器瓦から変更する場合、ガルバリウム鋼板は金属であるため、熱をため込みやすい性質があります。屋根の断熱がしっかりしていないと、ガルバリウム鋼板が受けた熱が居室にまで影響する恐れがあります。

 

・工事費用と工期

スケルトンリフォーム選んだ場合、まとまった費用や工期がかかります。それだけかけて何年住むのか、再度リフォームや住み替えが必要になったときに予算が確保できるのか、先を見据えた計画が重要です。

 

まとめ

 

構造材を個別に強化する部分的工事と、全て造り直す大規模工事。同じ耐震工事といっても規模がずいぶん違います。規模が違えばかかる費用や工期も違うもの。予算や求める強度、今後住む期間によっても判断は変わるため、リフォームにどこまで求めるかよく考え、必要かつ十分な工事を選びましょう。

 

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る