虫眼鏡と家のミニチュア

わが家を知って地震に備える。耐震診断の費用と補助金

地震列島とも呼ばれる日本に住むことは、常に震災のリスクと隣り合わせです。

 

近い将来、東京でも大きな地震が起こると予測されているわね。30年以内に7割の確率であるとか
首都直下地震のことだね。この家も住んで長いけれど、そんな地震に持ちこたえられるだろうか…

 

地震はいつ起こるかわかりません。わが家が安心できる場所であるかどうかはしっかり確認しておきたいもの。そんなときに指標となるのが「耐震診断」です。ここでは耐震診断とその費用、補助金について考えます。

 

 

大地震に耐えれられる?耐震診断で確認を

「RISK」と書かれた積み木

 

今後30年以内にマグニチュード7相当の大地震が70パーセントの確率で起こる。2014年、政府の地震調査委員会が首都直下地震について出した報告は衝撃的なものでした。

 

1995年の阪神・淡路大震災以降、地震の専門家は「日本は全域で地震の活動期に入った」という見解を示しています。前回の地震から70年以上が経過している南海トラフ地震も、近いうちに起こるのではと警戒されています。

 

耐震診断てなんだろう

阪神・淡路大震災で大きな被害が出たのは古い建物ばかり。1981年6月に施行された新耐震基準に沿って建てられた建物の被害は少なかったため、この震災を機会に、1981年6月以前の建物を旧耐震の建物、以後の建物を新耐震の建物と表現するようになりました。

旧耐震基準 震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能

→大規模地震を想定していない構造

新耐震基準 中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しては、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないこと

→大規模地震から命を守る構造

参考:内閣府 防災白書

耐震診断とは、主に旧耐震基準で設計され耐震に不安のある建物を、新耐震基準に照らし合わせて診断し、耐震性能の有無を調べるものです。建物の構造を調べて、強度や耐震性、受ける被害を評価します。

 

耐震診断はだれに頼む?

専門的な知識を必要とする耐震診断。どうすればいいかわからない……と不安になるかもしれません。詳細な調査をする前に、建物の情報を整理する意味でも、自分で住まいのなりたちを振り返ってみてはいかがでしょう。

 

まずは自分で簡易診断を

建物の耐震が気になったとき、一番手軽に取り組めるのが、自分で確認できる簡易診断です。

 

一般財団法人 日本建築防災協会が運営する耐震支援ポータルサイトには「誰でもできるわが家の耐震診断(一般財団法人 日本建築防災協会HP)」があります。パソコンまたはスマートフォンからアクセス、リーフレットのダウンロードができ、簡単な診断をする助けになります。あわせて補強方法の情報も知ることができます。

 

設問は簡単に答えられるもので、時間もあまりかかりません。建てられた年やその後の災害の有無、増改築歴の有無や住宅の材質、形状を答えていくだけで判定が下されます。設問に対する解説もついているため、耐震について簡単な知識を得られます。

 

最終的にはプロに

簡易診断の結果に不安があれば、プロに相談しましょう。専門的な知識を持った有資格者の力を借りて、より正確な診断を受けられます。

 

では信頼できるプロはどうやって見つければよいでしょうか。おすすめは行政認定の耐震診断士です。お住まいの県や市が認定した耐震診断士になるためには複数の条件があり、簡単になれるわけではありません。

 

【例】茅ヶ崎市の場合

 耐震診断士に登録するための条件

  1. 建築士法第2条に規定する建築士であるもの
  2. (財)日本建築防災協会が行う国土交通大臣登録 木造耐震診断資格者講習の受講を終了し、受講修了証明書を受領しているもの
  3. 建築士事務所登録を行っており、業務として耐震診断を行うもの
  4. 登録申請を行う日から、2年前の間に一定以上の耐震診断及び耐震補強の実績があるもの

 

行政によっては、無料で耐震診断士を派遣するところもあります。また、補助金を利用する要件のひとつに、認定された診断士による診断を受ける必要がある場合もあります。まずはお住まいの自治体に相談してみてはいかがでしょうか。

 

他にも、民間の組織が認定する「建物耐震診断プランナー」や「住宅診断士」という資格もあります。

 

ただしこれらは国家資格ではありません。建築士などの資格の有無を問わず、試験の点数が規定値を超えていれば認定を受けることができます。経験のないまま資格だけを取得し、有資格者として活動することも可能となってしまうため、この肩書きだけで判断して任せるには不安があります。

 

信頼のおける建築士をご存知だった場合はその方を頼ったり、知人から紹介を受けたりしてもいいでしょう。重要な診断を任せられる人物を探すことが大事です。

 

耐震診断は「一般診断法」「精密診断法」の2種類

木造住宅の耐震診断として主に行われるのは「一般診断法」です。特に診断方法に対しての説明がない場合はこれを用いると考えられます。

 

一般診断法

目視と図面を利用して診断を行い、建物の一部をはがしてまでの確認は行いません。そのため依頼のハードルが低く、購入前の住宅を診断する場合でもこの方法が用いられます。

 

精密診断法

内部構造まで直接見て確認するのが「精密診断法」です。天井や壁、床などを部分的にはがし、内部を調べます。より精度の高い確実な情報を得ることが可能です。しかし既存の建物に手を入れる必要があるため、実行をためらう方が大半です。診断費用も余分にかかります。

 

気になる費用を確認しよう。耐震診断にかかるお金

聴診器と電卓と家の模型

 

うちは旧耐震の建物なのね。やっぱり診断は必要だわ。いくらくらいかかるものなのかしら……

 

耐震診断をプロにと考えたとき、費用がどのくらいかかるのかは事前に把握しておきたいところ。一般的に住宅は木造・鉄筋コンクリート造・軽量鉄骨造の3つに分けられます。延床面積が120㎡(約36坪)の住宅を例に考えてみましょう。

 

延床面積120㎡(約36坪)の住宅
工法 木造 鉄筋コンクリート造 軽量鉄骨造
耐震診断費用 約20万~50万円 約24万円 約30万円

参考:一般財団法人 日本耐震診断協会

 

これらはあくまで一例です。また、前提条件もあります。個別に見ていきましょう。

 

耐震診断費用【木造】

木造住宅耐震診断の前提条件

  • 延床面積120㎡
  • 在来軸組工法
  • 竣工時の図面あり
  • 関東地方及び関西地方

 →約20万円~50万円

※上記の前提条件に当てはまらないものに関しては金額が変わる可能性があります。

 

木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)や伝統工法でできた建物は、業者によっては対応不可として断られる場合も。コンクリート造と木造が組み合わせられた建物も難物です。

また図面がない場合は、建物の実測をして新たに図面を描き起こす必要があることから、費用がかさんだり、診断を断られる場合があります。

 

耐震診断費用【鉄筋コンクリート造】

鉄筋コンクリート造住宅耐震診断の前提条件

  • 竣工時の一般図・構造図あり
  • 建物検査済証あり
  • 現地調査費用込

 →約24万円

※上記の前提条件に当てはまらないものに関しては金額が変わる可能性があります。


一般的な住宅の耐震診断費用は、約2,000円/㎡以上となります。

また建物の意匠図や構造図がない場合は、新たに図面を描き起こす必要があることから、費用がかさむ場合があります。

 

耐震診断費用【軽量鉄骨造】

軽量鉄骨造住宅耐震診断の前提条件

  • 竣工時の一般図・構造図あり
  • 建物検査済証あり
  • 現地調査費用込

 →約30万円

※上記の前提条件に当てはまらないものに関しては金額が変わる可能性があります。

 

一般的な住宅の耐震診断費用は約2,500円/㎡以上となります。

また建物の意匠図や構造図がない場合は、新たに図面を描き起こす必要があることから、費用がかさむ場合があります。

 

安いにはわけがある?適正価格を見極めよう

耐震診断はその後の耐震工事の布石となるもの。診断して終わりという方はそう多くありません。そのため、安い診断費用をエサに、その後の補強工事などを高額で請け負おうと狙う業者もいます。目の前の耐震診断だけではなく、その後の耐震工事も見据えて、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

 

 

耐震診断には補助金が出る!

家のミニチュアの横に積んだコインに傘をさす

 

なぜ補助金が出るの?耐震改修促進法とは

多くの死者が出た阪神・淡路大震災の轍を踏むまいと、1995年12月25日に施行されたのが「建築物の耐震改修の促進に関する法律」、別名「耐震改修促進法」です。

 

国民の命と身体、財産を守ることを命題とし、建築物の改修を進め、安全性を高めることを目的とするこの法律は、建物の安全性を評価し、適合しない建物に対し整備していくことを各自治体に求めています。

 

これを受けて、各自治体は耐震改修促進計画を策定、改修工事などを進めてきました。公共の建物はもちろん、個人の住宅についても同様です。耐震の対策を取りたくても、予算の問題で手をつけられずにいた人には朗報となるものでした。

 

この制度では、診断から設計、改修までと、耐震にまつわる一連の工程がカバーされています。各工程ごとに補助金を支給する自治体もあります。

 

耐震診断の補助金制度

ではどういった要件で補助金が得られるのでしょうか。国土交通省が調査した各自治体の補助制度の概要(一般財団法人 日本建築防災協会HP)が、一般財団法人 日本建築防災協会のサイトに掲載されています。これには「耐震診断を行う際」「補強設計を行う際」「耐震改修を行う際」の情報が、問い合わせ先とあわせ示されています。

 

戸建てにおける耐震診断補助制度の例
対象 建築年 建物の構造 用途
北海道札幌市 ~S56.5.31 木造 延床面積の1/2以上が住宅部分
東京都品川区 ~S56.5.31 木造、非木造建物 過半が居住部分
愛知県名古屋市 ~S56 木造、非木造建物 住宅以外の用途が延べ面積の1/2未満
大阪府枚方市 ~S56.5 木造、非木造 居住の用に供する
奈良県奈良市 ~S56 木造、非木造 過半数が居住部分

2019年4月4日更新 ※国土交通省調べ

ポイントは「建築年」「建物の構造」「用途」

各自治体によって耐震診断の補助金の割合や補助対象限度額、要件はさまざまですが、多くの自治体が旧耐震の建物を指す「昭和56年5月31日以前建築を掲げています。例外的に、大阪市は「平成12年5月31日以前に建築されたものであること」を要件としており、より間口が広くなっています。

 

建物の構造についての制限がある場合も。木造のみであったり、木造の場合でも2階以下のみが対象とされる自治体もあります。木造の3階建は特殊な構造計算が必要になるため、対象外とされることが多いです。ツーバイフォーなど、工法によっても対象から外される場合があります。

 

用途としては実際にそこに住むことを求められます。商用ではなく、生活の場として使うことに対する助成というわけです。

 

これ以外にも各自治体によってさまざまな要件があげられているため、対象になるかどうかをきちんと確認する必要があります。

 

耐震診断の補助金を得るには

木造住宅耐震診断士派遣事業として、診断士を派遣している自治体が多くあります。

 

派遣条件として、上記表にあるような要件を満たす必要がありますが、該当すれば全額無料または一部を自治体負担で受けることができます。最新の情報を自治体の担当部署へ確認しましょう。

 

全額無料の場合、申し込み後の審査が通れば、あとは診断士の訪問とその診断を待つだけで、一切の費用負担がありません。

 

ただし、自治体によっては診断数に上限を設けている場合もあり、必ずしも希望者全員が受けられるとは限りません。期間は年度で区切られており、規定数に達してしまえばその年度は対応してもらえないので注意しましょう。

 

まとめ

耐震診断は、特に旧耐震の住宅に関して非常に重要な意味を持つものです。

 

 耐震診断のポイント!

    • 信頼できる業者に依頼する
    • 耐震診断は適正価格で
    • 補助金については各自治体に確認を

 

いつまでもわが家で安心に過ごすために、まずは耐震診断から始めてみてはいかがでしょうか。

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